チャネリングとペーパームーン

本にはエネルギー作用があって、
読み進めるうちに強い影響を受けます。
どうも気分が重い、と感じる本であれば、
せっかく買ったのに、などと思わずに、
いったん止めてみるのも良いかもしれません。

先日、ちょっと古い時代の、チャネリングについて
書かれた本を読んでいました。
著者の言葉は誠実で純粋でした。
でも背後に感じる強い光の存在が、
どうしても気になります。
まるで、花の香りのガムを噛んでいるように、
(昔、そういうガムがあったんです。
「お口の恋人…」さんの。好きな方がいたらごめんなさい。)
甘やかな風味なのにイミテーションぽい…。
しまいにかなり気分が悪くなり、
どうしても読み進めることができませんでした。

宇宙にはフラクタル構造の性質があります。
チャネリングといっても、究極は次元の違う自分自身、
だと私は考えているのですが、中にあるものが、
そのまま上にあるもののように現れたりします。

高次のメッセージであれば、基本的には、
こちら側へのリスペクトがあり、
スタンスは非干渉、のはずですから、
その内容をどう料理するかは、
常にこちら側にゆだねられています。

チャネリングには危険性がある、とか、
本物と偽物がある、だとか、そんなことを
言いいたいわけではないのです。
ただ自分自身の知見というものを、
誰であっても安易に明け渡すべきではないと
私は思うのです。

家族であれ、師であれ、高次なナニモノかであれ、
他者の言葉のままに行先の舵を取ると、
たいてい幸福感は遠のいていきます。

かつて<ペーパームーン>というものがありました。
1900年代初めのアメリカで、記念写真の背景として
流行した大きな模型の三日月です。
人々はその三日月に乗って、月世界旅行を演じました。

ハリボテの月でもいい、
砂糖菓子の月でもいい、
よくできた虚構で良いではないですか。
月の裏側を知りたい、などとは、私は思いません。
これこそ真実だと言葉で語られるものを、
私はひとつも信じていません。

むしろ偽物だと知っていながら、
一葉の写真に幸せな瞬間を残そうとする、
自身が月世界を旅する主役として輝く、
そのひとときは限りなく尊く美しいと思います。

イッツ・オンリー・ア・ペーパームーン♪
It’s Only A Paper Moon – Abbie Gardner