中継ステーション

最初に“タリスマン”という言葉が降りてきた時、
その単語の鈴を転がすような、魅力的な音に心ひかれながらも、
とてもそんな魔法じみた言葉は使えない、と思いました。
英語に堪能な方からも、ファンタジー小説でしか見かけない単語、
と言われたため、“ジェムストーン”という言葉だけにしておく
つもりでした。

ところが準備を進める最中に、子供の頃に夢中になって読んだ、
あるSF小説を、急にどうしても読み返したくなりました。
確か絶版になっていたはず…、と検索してみると、偶然にも、
その翌日に新訳版が発売されることになっていたのです。

驚きつつ早速注文し、読み始めたところ、そのストーリーの要となるものが、
まさに“タリスマン”でした。
そして、その物語から、多くの示唆を得ることになり、
自分のやるべき方向性を理解することができました。

それはクリフォード・D・シマックの「中継ステーション」という
小説でした。 私のタリスマンの原点はそこにあります。
この仕事自体、以前から計画していたことでは全くなく、
突然の流れに押されるように始めてしまったことなのですが、
さまざまに押し寄せてきた流れのひとつに、
そんな不思議なできことがありました。